お殿様も喜ぶ、艶やかな葛菓子「出羽の久寿」

山形県は10万人当たりのお菓子屋店舗数が全国1位!
理由はわからないのですが、東北地方の日本海側にお菓子屋が多いそうなので、
昔ながらのお菓子が多く残っているのではないでしょうか。


鶴岡に古くから伝わる「出羽の久寿」もその一つ。
今時のSNSにも映えそうな、雅な姿かたち。
そのまま食べると、ポリポリした歯ごたえのあとに広がる口どけの良い上品な甘さ。
お湯で溶かすととろ~りとした葛湯になって、寒い冬に暖まります。


江戸時代に、酒井のお殿様が葛栽培を奨励していたこともあり、葛が多く自生していた鶴岡。
その葛を使って、お殿様に「大菊・小菊」の名前で勤納していたという、かなり由緒あるお菓子です。
港屋さんは30数年前にこの葛菓子の製法を引き継いだのですが、その当時から製法は全く変えていないそう。
今でも手練りで作るそうで、実際に作っていただきました。


作り方は至ってシンプル。
本葛を水で溶かして、水飴・はちみつを混ぜたものと合わせる。
砂糖と澱粉を入れて、味付けして型に入れ、乾燥して出来上がり。


手でこねこね。簡単そうに見えますが時間が経つと乾燥してきて打ちにくくなるので、手早さが大事。


木型にぎゅっと詰めて、


型から出す。これは大菊。


乾燥箱はさらにレトロな木箱。下に石油ストーブが入っていて火を焚いて乾燥させます。


お殿様に献上していた当時の定番は「大菊・小菊・カタバミ紋(酒井家の家紋)」だったそうですが
今では梅やサザンカ、柿、鶴に亀、稲穂、ウサギやうぐいすなど
数えきれないほどのバリエーションがあります。
なんと、クラゲや人面魚(←アラフォー以上世代には懐かしい響き。今も善寳寺でご健在です)など珍しい木型も。


↓スタッフ全員が「可愛い!」と大絶賛の柿。2色使うので作るのが他より手間がかかるそうです。


味や色合いもバリエーション豊かで、しろ(プレーン)・抹茶・紅花・生姜・しそ・コーヒーなど色によって味が違います。
個人的には生姜味(喉によく効きそうな味と香り)と紅茶味が好みです♪


港屋さんでは、季節に応じた葛菓子の詰合せも作っており、
食べるだけでなく、飾り菓子としても素敵です。