量から質の時代へ
「須田青果園の紅干し柿は、今でこそ「質」の高さで知られていますが、かつては市場への大量出荷がメインでした。「親父の時代は、とにかく量が必要という時代。でも、僕らの代は量じゃなくて質なんです」と須田さんは振り返ります。
その転機となったのは、ある一本の電話でした。農協に出荷した箱には、農家の名前ではなく「生産者番号」しか書かれていません。しかし、それを食べて感動したお客さんが、番号を頼りにわざわざ須田さんの農園に電話をかけてきたのです。
「『全国の干し柿をいろいろ食べ回ったけど、おたくの紅干し柿が一番うまいんだ』って、電話で言われたんですよ」。そんな熱烈なファンの声に直接触れるうち、「本当に美味しいものを待っている人に届けたい」という想いが強くなり、須田さんは農園のホームページをつくって直接販売したり、品質重視の路線へと舵を切りました。
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