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「昔の歌人や俳人は、飲んで泊まったお礼にって色々置いていくのが残っているんだよ」
酒造りの町、鶴岡市大山地区で
山形屈指の歴史を誇る「羽根田酒造」
こんにちは、清川屋の渡部です。
正月が明ければ雪に埋もれて人の往来も少なくなる鶴岡…
ですが、冬こそ忙しいところがあります。そう、それは「酒蔵」!
酒好きならば一度は行ってみたーい!酒蔵見学!
というわけで鶴岡市大山地区へ行ってきました。
鶴岡駅から車で20分ほどの場所にある大山地区は、江戸時代から続く酒造りの町。
江戸時代に天領(幕府直轄地)だった大山地区は酒税が他より安かったのと
地下水が豊富だったこと、庄内平野の米どころに囲まれていたこと等が重なって
多い時で40軒もの酒蔵が軒を連ねていたそうです。
今も大山地区には4軒の酒蔵が残っており、どこも新酒仕込みの真っ最中。
(お忙しい中、取材にご協力いただきましてありがとうございます。)
まず1軒目は「羽根田酒造」さんへ。
羽根田酒造さんは、大山地区にある4軒の酒蔵の中で最も歴史が古く、創業1592年!
日本最古の酒蔵TOP10位以内に入るほど歴史ある酒蔵です。
「白梅」から「俵雪」へ―追求し続ける酒の味
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「元は大山の地主のような立場だったようです。地主のところには米が集まるので、
米をそのまま売るより、酒にして財にした方がいいと思ったんじゃないでしょうか」
と語るのは15代目当主の羽根田修さん。
今は息子さんの成矩さんが中心となり、羽根田酒造の味を守り続けています。
大山地区の中では最も小規模な酒蔵ですが、
全て純米酒(米、米こうじ、水だけを原料にして仕込むお酒のこと)だけで製造するなど
「少量・高品質」を地で行く酒蔵です。
山形県産のつや姫や出羽の里、出羽燦々と言った、
山形ならではのお米を中心に仕込んでいます。
代表銘柄は「羽前白梅」です。
「「羽前白梅」は、昔ながらの味わいを残すため伝統的な仕込み方法で作っています。
香りは控えめで、米の旨味を出しています。」
山廃・生酛造りなど、元々蔵に住んでいる乳酸菌がじっくりと発酵を進める製法なので
時間がかかりますが、その分どっしりとした味わいになります。
「でも、30年前ぐらいから香りが華やかで、飲み口がよいお酒が人気になってきて、
それを踏まえて新しく作った銘柄が「俵雪」なんです。
ちょうどその頃、大山で新酒まつりが始まったので、「俵雪」は新酒まつりと一緒に
広まってきたお酒とも言えますね」と羽根田社長。
米や製法は羽前白梅同様にこだわりつつ、華やかな香りの酵母菌を組み合わせることで、
より香り高い日本酒に仕上げました。
※ちなみに「俵雪」(たわらゆき)とは、
雪の上に積もった新雪が、風でめくれて転がり、俵のような形になる現象のこと。
「豊作の吉兆」といわれているそうです。おめでたい名前なんですね。
【イベント】大山新酒・酒造まつりとは?
大山地区の4つの蔵合同で開催され、毎年新酒の時期に合わせ開かれる地元のお酒を思う存分楽しめるイベントです。チケット制ですが、各蔵で作りたての新酒・名酒を試飲でき、毎年、多くの行列で賑います。※2024年の酒蔵めぐり予約販売は終了しました。
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創業430年!歴史を重ねた「槽搾り」に「無炭素ろ過」
さて、いよいよ酒蔵の中を見学!「古いばっかりだけれども~」と案内頂いた酒蔵は広々としていて、漆喰壁など昔ながらのどっしりとした造りが印象的です。
「ここは米を蒸すところです。今はバーナーでお湯を沸かしているのですが、昔はここで直接火を焚いてお湯を沸かすことで、米を蒸していたんです」巨大なかまどのような造りに歴史を感じますね。
そして、羽根田酒造さんの特徴と言えるのがこの巨大な槽(ふね)!
槽とは、発酵が終わった醪(もろみ:清酒の前段階)を絞って、酒と酒粕に分離させるための道具です。形が舟に似ているため名づけられたそう。この舟底のようなところに、醪が入った袋を並べ、上から押すことでお酒と酒粕に分離させていきます。
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最近は自動圧搾機と呼ばれる、機械で強い圧力をかけることで、素早く、より多くのお酒を絞ることもできるのですが、羽根田酒造さんでは昔ながらの槽搾りでお酒を絞っています。「酒粕が多く残っちゃうから量が取れないんだけどね…」と羽根田社長は言いますが、じっくりと絞ることで、雑味がなくなりまろやかな旨味になるのが槽搾りの特徴です。
また、羽根田酒造さんでは昔から炭素ろ過もしないのがモットーです。
炭素ろ過とは、お酒に炭素を入れることで雑味やにごりをろ過し、綺麗な清酒に仕上げる作業のこと。すっきりとした味わいになるのですが、その分酒そのものの旨味も薄れてしまうことがあるため、羽根田酒造さんではあえて炭素ろ過をせず、酒の旨味を全面に出せるような仕込みを行っています。
お米の旨味を余すところなくお酒で表現できるよう、歴史を重ねた仕込み方法が羽根田酒造さんの真骨頂。うう~新酒が楽しみ~!!
今回の「こころづくし山形 初春号」では、
銘柄「俵雪」のつや姫と出羽の里、
それぞれのお米で仕込んだお酒をご紹介しております。
・・・実はこの時点でまだ渡部も飲んでません。まだ仕込み中ですので・・・
今年の出来はどうなのか!?ドキドキしながら新酒を待つのもまた楽しいですね。
是非出来上がりを楽しみにお待ちくださいませ!
(※「俵雪出羽の里」は仕込みが若干遅れているため、出荷が2/12以降になります。もう少々お待ちくださいませ)
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〈おすすめの飲み方〉冬にはもってこい!「お燗」をして飲んでみよう
スタッフS「今まで、日本酒とかのアルコール度数が高いお酒は飲みにくいと思っていたのですが、美味しく飲めますか?」
羽根田修社長「そういう時はお燗がおすすめだよ。アルコールが飛ぶので飲みやすくなるし、香りが少ない酒なら香りが良くなるのでおすすめだよ。日本酒は温度で味が全然変わるからやってみて。昔はお燗の道具とかあったけど、ないならレンジでもOKです」
●電子レンジでお燗するには
1合(180ml)徳利の場合、徳利にお酒を入れてラップをかけ、500Wで60秒
コップ(約100ml)の場合、コップにお酒を入れてラップをかけ、500Wで30秒
※温めすぎは風味が飛びやすいので少しずつ温めて下さい。
※温め後マドラーでかき混ぜると温度ムラがなくなるのでおすすめです。
羽根田酒造の隠れ人気商品「梅湧水」
羽根田酒造さんで、もう一つおすすめしたいお酒が「純米梅酒 梅湧水」。
昔、自宅に5~6本梅の木があって、社長のおばあさんが、毎年「羽前白梅」を仕込み水代わりにして梅酒を仕込んでいたそうです。
現在は、社長がその仕込み方をひきついで醸造しています。
実は清川屋店舗でも人気の梅酒。すっきりとした後味で甘さ控えめ、アルコール度数が10度ぐらいなので日本酒より飲みやすいかもしれませんね。
渡部的にはこちらもおすすめしますよ!
まだまだ寒い日が続きますので、美味しい日本酒を飲んで温まりましょう♪