先日、清川屋の社内チャットにて「あなたが未来に遺したい鶴岡の食は何ですか?」という質問が投げかけられました。
たくさんの郷土料理が並ぶ中、清川屋スタッフたちがこぞって候補に挙げた料理…それが鶴岡の冬の郷土料理である「納豆汁」でした。
そして同じく冬の時期にしか販売されない縁起菓子である「きりさんしょ」の名前も候補に挙がりました。
今回はそんな鶴岡の冬にまつわる料理である”納豆汁”や、縁起菓子の“きりさんしょ”にまつわる思い出を、鶴岡出身・現在は仙台在住の清川屋スタッフ・しがに聞いてみちゃいました♪
そもそも、”納豆汁”って一体?

最初に紹介しますのが、山形県や秋田県などの雪深い地域で親しまれ、俳句の世界では「冬の季語」ともされている”納豆汁”です。

ご飯のお供である納豆を味噌汁に入れるなんて、何事…!?
そう思われる方も、このブログを読んでいる方にはいらっしゃるのではないでしょうか?
山形県では昔、食材が不足しがちになる冬を乗り越えるための保存食として各家庭で自家製作していた納豆は、貴重なたんぱく質でした。
納豆をすり潰して入れてお味噌汁にとろみをつける”納豆汁”は、寒い冬に身体を温める汁物としても最適。
加えて、山形県内だけでも地域によって食べるタイミングは違うらしく、こんな話が出ることも。

山形県出身の友人と納豆汁の話をしていたら、どうも食べる日が違うと知ってビックリ!
山形県内でも主に村山地方では七草の節句に食べるのだそうです。
庄内地方では毎年12月9日に行われる「大黒様のお歳夜」の他・大晦日に、最上地方ではお正月に食べられるそうです。
遡れば江戸時代から食べられているという、歴史が深い”納豆汁”。
現代に至ってもそれぞれの地域や家庭でその習慣は受け継がれ、「無病息災」や「子孫繁栄」を祈る習慣として食べられている汁物なんです(*^▽^*)
そんな”納豆汁”作りには、ちょっとしたコツがあるようで……
それぞれの家庭の”納豆汁”の思い出……スタッフ・しがの場合


小さい頃、祖母のお手伝いで納豆をつぶした記憶があります。
すりばちの中に入った納豆粒をすりこぎで一粒一粒狙ってつぶす。つぶし終わったら、今度は擦ってなめらかに。
最後は汁でのばしてみそ汁にいれたらできあがり。
そしてやっぱり、納豆汁にかかせない具材は「いもがら」。
書いていたら食べたくなってきました。
そう語るのは、長年清川屋で勤めている清川屋スタッフ・しが。
“納豆汁”を作るにあたって、納豆をすり潰す際の粒の粗さはご家庭によるみたいですが、彼女の家では納豆の粒が見えないくらいに丁寧・なめらかにすり潰すのがしが家流だったようです。それにしても、豆の一粒一粒を狙って潰すのは根気が要りそう……((+_+))
山形冬の郷土料理の”納豆汁”、手軽に作るには…?

スタッフ・しがのエピソードのように、最近では『納豆をすり鉢ですり潰す』という工程ことが手間なため、一般家庭で作られることは少なくなってきたとも言われている”納豆汁”ですが、その手間を一気に省いて手軽にが調理できる、「納豆汁セット」も出回るようになっています。
時代が移り変わり、少しずつ継承の形は変わっていくかもしれませんが、これからも”納豆汁”を食べることによって、美味しく健康に!先人たちの文化を受け継いで行きたいですね(*´艸`*)
縁起菓子と共に過ごす年の瀬…♪“きりさんしょ”にまつわる<だるま祭>の思い出。

次に紹介しますのが、山椒を乾燥させ粉にしたものを餅に練り込んで細く切った庄内地方の伝統の餅菓子“きりさんしょ(切山椒)”です。
12月17日に鶴岡市の七日町観音堂で開かれる祭「観音様のお歳夜」にて、正月の縁起物を売る出店<だるま市>で売られている縁起菓子となっています。
“きりさんしょ”の始まりは明治の初めころ、長崎屋というお菓子やさんが浅草の菓子を参考に、その年にあまったお菓子のくずを大切にとっておき、縁起菓子にして販売したところから始まったのだとか。
今では長崎屋さんはなくなってしまい、鶴岡市内の菓子店がそれぞれの原材料と製造方法で作っているそうです。

だるま祭は、いつもは静かな観音堂がこの日だけ賑やかになる日です。
境内にはだるま市が立ち、だるまや熊手、招き猫など縁起物を売るお店が並び、福を求める参拝客で賑わいます。
また参拝後にくじを引くことができ、当たると小さいだるまをいただけるのが子供の頃の楽しみでした。


そこで買える「きりさんしょ」は、鶴岡出身の人にはとても馴染み深いおかしです。山形市のお店に勤務していた頃も「きりさんしょありますか?」と聞かれました!
「きりさんしょ」は、知らない人には全くわからない、食べてうまーい!というものでもないですが💦(ごめんなさい)
鶴岡を離れた方が清川屋ならと求めたくなるのが「きりさんしょ」だと思います。
“きりさんしょ”は、一度にたくさんの数の実をつける山椒の粉を使っているため、子孫繁栄や邪気払いの縁起物として食べられている、師走にしか味わえない伝統深いお菓子のです。
ピリリとした山椒の風味を効かせた、白砂糖味と黒砂糖味が特徴の餅菓子である“きりさんしょ”は、スタッフ・しがの言うように「すごく美味しい!」と感動するものではない素朴な味わいですが、
庄内地方の鶴岡市でしか扱っていない伝統菓子のため、清川屋で予約が始まると、鶴岡出身で内陸や県外に在住のお客様からの注文やお問い合わせが多いお菓子となっているんですよ♪
形は変わっても受け継ぎたい、心温まる冬の記憶。

スタッフ・しがの思い出と共に、鶴岡の冬の味覚「納豆汁」と「きりさんしょ」をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
どちらも、決して派手な料理やお菓子ではないかもしれません。 しかし、家族で食卓を囲んだり、年の瀬の神社の賑わいを感じたり……そんな「誰かと過ごした温かい記憶」と共に記憶されているからこそ、私たちスタッフも「未来に遺したい」と強く感じたのだと思います。
手間ひまかけて作るもよし、便利なセットで手軽に楽しむもよし。 形は変わっても、その奥にある「温もり」や「願い」は、これからも大切に受け継いでいきたいですね。
この記事で紹介した商品はこちら
かんたん納豆汁セット
納豆汁は、いもがらや山菜、きのこの味噌汁にすりつぶした納豆を加えた山形の伝統料理で、大黒様のお歳夜や寒い時期によく食べられます。
ご家庭で簡単に出来るセットをご用意しました。とろみがついて、食べるほどに身体が温まります。


