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品種改良を重ね、日本国内で100種類以上!
北限の産地・山形で栽培される美味しい桃の種類は?
桃はもともと中国原産の果物。日本でも縄文時代から食べられていたと考えられていて、弥生時代の遺跡から桃の種が発掘されるなど、古くから身近な果物だったようです。
とはいえ明治時代以前の桃は、食用というよりも鑑賞用や薬として用いられることが多かったよう。
現在のような甘い桃が登場したのは明治時代頃。18899年(明治32年)に「日本のももの元祖」とも称される「白桃(はくとう)」が岡山県で発見され、それ以降、日本の気候に合うよう改良や交配が行われ、様々な品種が誕生しました。
現在日本で栽培されている桃の品種はなんと100種類以上といわれています。
では山形の桃事情は…というと、以前は缶詰など加工品用の品種の栽培がさかんでしたが、現在は生食用の品種が中心。果肉が白い「白桃系」や、黄色い「黄桃(おうとう)系」など、見た目も味わいも多種多様な品種が育てられています。
桃は温暖な気候を好むフルーツのため、まとまった収穫量のある産地としては山形が北限!収穫時期も他の地域に比べて遅いぶん、秋以降もジューシーで美味しい桃が楽しめるんですよ☺
そんな山形県内で栽培されている桃の品種を中心にピックアップ!品種ごとの特徴や収穫時期などの情報をご紹介していきます。

山形のももを代表する人気の品種「川中島白桃」
■白桃系
■山形県内での収穫時期:8月下旬(晩生種)
山形県内で一番栽培されている桃が「川中島白桃(かわなかじまはくとう)」。県内の桃の栽培面積の約32%を占めています。
もともとは岡山県など主に西日本で栽培されていましたが、現在では山梨県や福島県など比較的涼しい地域でも栽培されるようになった品種です。
川中島白桃は昭和30年代に長野県長野市川中島町の果樹園で偶然発見された桃です。当初は発見者の名前から「池田1号」として出荷されていましたが、1977年(昭和52年)に「川中島白桃」として登録、全国各地で栽培されるようになりました。
果皮は濃紅色で、果肉が白い白桃系。種の周りが赤く色づくのが特徴です。繊維質が少なく、ややかための食感。糖度も高いので口いっぱいに甘い果汁が広がります。
1玉250~350gと桃のなかでは大玉の傾向。ずっしりと食べ応えがありますよ。
山形県内では8月下旬に収穫されるので“なごりの桃”として人気の高い品種。香りも上品で見た目も美しいことから「桃の王様」とも呼ばれています。
比較的日持ちもするため、ご贈答用にもおすすめできる逸品です。

国内の栽培面積No.1!緻密な果肉「あかつき」
■「白桃」 × 「白鳳」 (白鳳系)
■山形県内での収穫時期:8月上~中旬(中生種)
「あかつき」は、桃の代表的な品種である「白桃」と「白鳳」を交配して生まれ、1979年(昭和54年)に品種登録されました。白桃のしっかりとした食感と白鳳のジューシーさ…2つの魅力が掛け合わさった “いいとこどり” なおいしさが評判となり、全国各地で栽培されている人気の品種です。
肉質は緻密で、ややかため。甘みが強いですが程よく酸味もあり、果汁もたっぷりです。太陽の光を浴びると、果皮は明るい紅色に色づきます。
(「太陽のあかつき」を育てる清川屋の農家さん・タキグチフルーツガーデンさんも袋掛けをせずに、日光をたっぷりあてて色づきよく育てているそうですよ。
詳しくは こちらのブログから〉)
全国的にはいちばん栽培されているあかつきですが、山形県内では川中島白桃に次いで2番目に多く栽培されている品種。県内のももの栽培面積の約17%を占めています。
桃シーズン真っただ中に収穫されますが、北限の産地ということもあり、生産量日本一の福島県産に比べるとやや遅い時期。日持ちもよいので、かための食感が好きな方やご贈答におすすめです。

好みの食感でめしあがれ!晩生品種「ゆうぞら」
■「白桃」 × 「あかつき」 (白桃系)
■山形県内での収穫時期:9月上~中旬(晩生種)
「ゆうぞら」は1966年(昭和41年)に白桃とあかつきを交配して生まれた白桃系の品種。1983年(昭和58年)に品種登録されました。
栽培面積は福島県に次いで山形県が全国第2位。県内では長年栽培されている晩生種の桃です。
1玉の大きさは260~300gとやや小ぶり。甘くて果汁たっぷりなあかつきを親にもつゆえ、ゆうぞらも果汁豊富で甘い!とはいえただ甘いだけでなくほのかな酸味もありますので、バランスの取れた濃厚な味わいを楽しめます。
果肉は緻密でしっかり、繊維が少なめ。比較的肉質がかための桃ですが、追熟するとなめらかな食感に。日持ちがよいうえ、ゆっくり熟すのでお好みの食感で楽しめるのが嬉しいですね。
桃のシーズン終盤、ジューシーな白桃を楽しみたい方にお召し上がりいただきたい逸品です。

桃がこんなに硬いなんて!人気急上昇中「おどろき」
■「白鳳」の枝変わり
■山形県内での収穫時期:8月下旬~9月中旬(晩生種)
とってもインパクトのある名前の桃「おどろき」。長野県生まれの桃で、1991年(平成3年)に品種登録されました。「果肉が驚くほど大きくかたい」ことから「おどろき」と命名されたこちらの桃、熟してもあまり果肉が柔らかくならず、カリッとした食感はまるでりんごや柿のよう。また、1玉300~350gと大玉なのも特徴です。
全国的にも生産量が少ない上、シェアのほぼ半数を山形県が占めているため、なかなか他地域でお目にかかることの少ない品種かもしれません。
糖度が高くて酸味が少ないこともあり、近年人気急上昇中のおどろき。かため食感の桃がお好きな方は一度召し上がってみてはいかがでしょうか。

甘くとろける食感とほのかな酸味が特徴!黄色い桃「黄金桃」
■「白桃」から偶然生まれた黄桃系
■山形県内での収穫時期:8月下旬(晩生種)
「黄金桃(おうごんとう)」は生食される黄桃の代表格ともいえる品種。「川中島白桃」から偶然生まれ、鮮やかな黄色の果皮と果肉が特長です。
もともと黄桃は果肉が硬く、糖度も高くないことから、加工用として栽培される品種が多かったのだそう。現在は改良が進み、黄金桃のように生食で美味しく食べられるジューシーな品種が出てくるようになりました。
清川屋でお届けしている黄金桃はその名の通り淡く輝く黄金色ですが、これは一玉一玉丁寧に袋掛けをしているから。袋掛けをせずに育てると、通常の桃のように果皮は赤く染まるのだそうです。
ただ甘いだけでなく、爽やかな酸味もあり濃厚。果肉が緻密なので、熟するととろりととろけ、まるでマンゴーのようなトロピカルな味わいです。
美しい見た目も相まって、贈り物としても人気のある逸品。白桃とは異なる、黄桃ならではの味わいをお楽しみいただけますよ。

まるで柿のようなカリッと硬めの黄桃「光月」
■「川中島白桃」 × 「ゆうぞら」 (黄桃系)
■山形県内での収穫時期:9月下旬(極晩生種)
「光月(こうげつ)」は山形生まれの美しい黄色い桃。2008年(平成20年)に品種登録された、比較的新しい品種です。果肉も果皮も黄色ですが、果皮に関しては日光が当たると赤く色づく特徴があります。美しい黄色を保つためには、一玉ずつ袋を掛けて(有袋栽培)大切に育てる必要があります。
食感はカリッとかため。甘さがあり酸味は少なめなので、その食感と味わいからまるで柿のよう!と評されることも。追熟すると濃厚な甘さと芳醇な香りが際立つ、まるでマンゴーのような味わいに変化するのも面白い品種です。
比較的日持ちすることと美しい見た目から、秋のフルーツギフトにもおすすめ。
山形県でもまだまだ栽培する農家さんが少ない、希少な品種です。
黄桃特有のしっかりかため食感の桃がお好きな方に、一度は試していただきたい味わいです。

桃?ネクタリン?他の桃とは一線を画す信州生まれの「ワッサー」
■「ネクタリン」 × 「山根白桃」
■山形県内での収穫時期:8月中~下旬
現在日本で食べられている桃の系統には「白桃系(果肉が白色)」「黄桃系(果肉が黄色)」「白鳳系(早い時期に完熟状態で出回る桃)」などがありますが、これらと一線を画す系統に、中央アジア原産で日本では主に長野県で栽培されている「ネクタリン系」があります。このネクタリンを親に持つのが「ワッサー」。長野県須坂市生まれで、1990年(平成2年)に品種登録されました。
(ちなみに「ワッサー」という名称は、ワッサーが生まれた果樹園の園主・中村渡さんの子供時代のニックネームに由来するそうです^^)
ネクタリンの特徴を受け継ぐワッサー。やはり他の桃とは一味違います。大きさは一般的な桃よりも小ぶり。黄色の果肉はかためで、サクサクとした食感です。酸味のあるさっぱりとした甘さで果汁が少なめですが、噛むほどに甘みと酸味が溢れ出すのが魅力です。硬い桃やスモモが好き!という方にはハマる味ですよ^^
実は発祥の地・長野を含め、全国的にも栽培している農家さんが少ないワッサー。山形県産はさらに希少です。
当店で取り扱いのある桃の中では一番硬い桃です。果肉が崩れにくい利点を生かし、お料理の付け合わせやフルーツタルトなどに使うのもおすすめ。ちょっと変わったフルーツをお探しの方にお試しいただきたい桃です。

甘さ濃厚!“幻のネクタリン”の異名を持つ「スイートビーナス」
■「西野白桃」の果実から生まれた実を選抜・育成して誕生(ネクタリン系)
■山形県内での収穫時期:9月中~下旬
2004年(平成16年)に品種登録された、比較的新しい桃である福島生まれの「スイートビーナス(スウィートビーナス/スイートヴィーナス)」。果皮に産毛がなく皮ごとまるかじりできる「ネクタリン系」の新品種です。ネクタリンは酸味のある品種が多いといわれていますが、スイートビーナスは糖度が高く、酸味が少なめ。果肉は黄色で、種の周りがほんのりと赤いのが特徴です。
すぐにいただけばさっくりとした食感ですが、熟すればねっとり。マンゴーと桃の“いいとこどり”のようなひと玉です。
栽培が難しく“幻のネクタリン”と称される一果。清川屋では2025年「だだちゃ豆とフルーツ号」にて初紹介の品種です。一般的な桃に比べると小ぶりではありますが、濃厚でジューシーな甘さは絶品!数量限定品なので気になる方はお早めに^^
〉清川屋・山形のもも「スイートビーナス」 ※ただいま準備中

〈まとめ〉夏~初秋にかけてのお楽しみ♪
特徴いろいろ、それぞれの旬を楽しんで
日本でおよそ100種類以上栽培されている、夏のフルーツ・桃。今回ご紹介した品種以外にも、岡山県発祥で“桃の女王”とも称される「清水白桃」、早生で風味のよい「暁星(ぎょうせい)」、片手に乗りきらないほどの超大玉「西王母(せいおうぼ)」など、収穫時期や主要産地、かたい/やわらかいなどの食味の違いなどで多種多様な桃が存在しています。
2025年、清川屋でお届け可能な桃は14品種!どれも個性豊かで魅力的なモモばかりです。食べ比べを楽しみながら、自分好みの桃を探すのもおすすめです。
農家さんが丹精込めて育てた、丸々実った絶品桃をお楽しみください!