前回のブログ:<なぜ、だだちゃ豆はかくも私たちを熱狂させるのか…>①~だだちゃ豆の魅力編~
前回は、塩茹でしただだちゃ豆と、この日にあわせて用意しただだちゃ豆のアレンジレシピをつまみながら、だだちゃ豆の思い出や魅力を語り合った清川屋スタッフたち。
今回は、清川屋の実店舗「0035gather」や「HOUSE清川屋」で日本酒のラインナップを担当する三浦がセレクトした、だだちゃ豆と相性がよいと思われる山形県の地酒12種と一緒にだだちゃ豆を味わう<だだちゃ豆ペアリングセッション>を行いました。
清川屋スタッフプロフィール

●真島彰子(ましま・あきこ)
山形県酒田市出身。2005年清川屋入社。
商品部在籍し、おもに県内の特産品の取引を担当。利き酒コンテスト鶴岡地区予選優勝。

●白井杏奈(しらい・あんな)
山形県鶴岡市出身。
2021年清川屋入社、通販部在籍。おもにブログやメルマガなどを担当。DMの台紙に季節の画を描いている。

●土屋花音(つちや・かのん)
山形県大石田町出身。
山形市の店舗「0035/gather」のスタッフを経て商品部在籍。大学在学中は県内の民芸品の研究に取り組んだ。

●渡部理恵(わたなべ・りえ)
宮城県名取市出身。
2005年清川屋入社。通信販売部への転属を機に鶴岡へ移住。おもに通信販売の企画やカタログ制作を担当している。

●三浦俊輝(みうら・としき)
宮城県仙台市出身。
2021年清川屋入社。県産の魅力を伝える県との事業を担当。山形移住を機に日本酒に心酔。全国100以上の酒蔵を訪れた。

●朝比奈順子(あさひな・じゅんこ)
山形県鶴岡市(櫛引)出身。
1992年清川屋入社。通販部在籍。上京中の子どもたちに、茹でただだちゃ豆を冷蔵便で送りつけている。
清川屋の酒呑みたちが、だだちゃ豆と相性のよい山形の地酒を探る。


「枝豆といえばビール」ですが、だだちゃ豆に合うお酒って、もっとたくさんあるんじゃないか―。
というわけで、いろいろ持ってきましたよ。

おお〜。

料理とお酒を組み合わせる考え方として、
①料理と同じ風味をあわせて相乗効果をもたらす、
②料理に不足した風味を合わせて補完する
…といった観点から、山形のお酒12種類を用意してみました。このなかから、だだちゃ豆(とくに塩ゆで)と相性のいいお酒をみなさんに選んでもらいたいと思います。

だだちゃ豆そのものに強い甘みと旨味がありますから、ちょうどいい組み合わせを見つけてみたいですね!

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さて、みなさんいかがでしたか。

私は「楯野川 純米大吟醸 合流」がだだちゃ豆と合うなあと感じました。豆を食べてから飲むと、口の中で香味がふくらむ印象です。

私も同感! お酒自体が優しい感じで、軽くて飲みやすい。
ちょっとほろ酔いになりながら、おいしい豆をつまむのにちょうどいいですね。お酒が進み過ぎて、ちょっと危険かも(笑)

旨味の強いお酒ですが、フルーティーだけど柑橘系の果実感なので、豆と打ち消し合わないですね。

楯野川 純米大吟醸 合流
×だだちゃ豆 セット
楯の川酒造は月山や鳥海山などの伏流水で仕込み、製造する全てのお酒を純米大吟醸で醸すこだわりの蔵元。柑橘系の爽やかな香りやクリアな甘みが食材の魅力を引き立てます。


あと「鯉川 純米大吟醸 亀の尾」もいいなあと思いましたよ。なんというか、豆は豆、お酒はお酒。それぞれの味がきちんと楽しめて、みんなちがってみんないい。亀の尾、久しぶりに飲みました。うーん。やっぱりおいしい!

たしかに、豆のおいしさと干渉しないですね。

こちらもフルーティーで柑橘系の果実感がありますが、庄内の酒米「亀の尾」の旨味がしっかり感じられますよね。

鯉川 亀の尾 純米大吟醸
×だだちゃ豆 セット
蔵のある庄内町余目(あまるめ)発祥で、コシヒカリなどのブランド米の祖先「亀の尾」。これを低温でじっくり発酵させることで味わえるシャープなキレと、米の旨味が両立した純米大吟醸です。


私は「惣邑 純米吟醸 羽州誉」が合うなと思いました。
お酒の旨味がだだちゃ豆の旨味と風味をより引き出していますね。お酒のコクの強さが、対比的に豆のフレッシュさをさらに強調しているようです。

あれ? 三浦さんが複雑な顔して深く頷いている……。

じつは、私も「惣邑」がよく豆と合うなあと思ったので、先に言われちゃったな…って(笑)。土屋さんのコメント、候補を選んだ立場としても嬉しいです。


日本酒ってこんなにおいしいんだ!」と気付いた商品部の土屋。最近、日本酒検定の資格を取得した。
惣邑 純米吟醸 羽州誉
×だだちゃ豆 セット
多くの川が最上川に合流する長井市の蔵元が作る食中酒。希少な山形県産酒造好適米「羽州誉」で醸し、瓶詰後に一定期間貯蔵することで引き立つまろやかな甘味と旨味が特徴。


惣邑は豆の味もしっかり引き立っていますね。
ちなみに、私は「出羽ノ雪自然酒」がおいしかったです。ぬる燗で頂いたんですが、お酒の味がふわっと抜けたあと、豆の冷たさが感じられて「あ、この温度の流れ、すごくいいな」って。やわらかい甘さが豆と協調する感じですね。

この「自然酒」は〈生もとづくり〉という昔ながらの製法なんです。この製法、いい意味で〝くさい〟風味が特徴だと言われているんですが、この自然酒は意外と飲みやすいなと感じました。そのぶん、あと味の優しい甘味が引き立って、豆と合わせやすい。個人的には新発見でした。

出羽ノ雪 自然酒
×だだちゃ豆 セット
だだちゃ豆発祥の地、山形県鶴岡市白山地区にほど近い大山地区でおよそ400年以上前に創業。自然栽培のササニシキを、昔ながらの生もと造りで丁寧に醸造した旨味と酸味のバランスのとれたお酒です。


そうですね。うまく言えないけど、私も「うわぁ新しい、なんだこれ!」って思いました。
お酒を口に含んで豆を食べると、豆の味に変化がありました。絶妙な温度感とあいまって、クセになる感じ。

あと、私は「白露垂珠 純米大古酒」も印象的でした。口当たりはすっきりな印象ですが、あと味でコクや風味が複雑に絡み合い、そしてその余韻が長く続く。その余韻と豆の塩気がピッタリ合うんです。豆もお酒もどんどん進む味わいです。

白露垂珠 純米大古酒
×だだちゃ豆 セット
蔵のある山形県鶴岡市で生産された貴重な山田錦で醸したお酒を、18年以上熟成させた大古酒。低温で熟成させたことで、古酒特有のカラメル感なくコクや風味が円熟し、より一層際立ちます。

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それにしても、こんなに真摯に豆と酒と向き合うなんて、貴重な経験です。
今回は塩ゆでだだちゃ豆との相性をみてきましたが、番外編的に「アケビアー」(朝日町の特産品アケビを使ったクラフトビール)と、だだちゃ豆のクリームチーズ和えの組み合わせも好きでした。クセ強め組みの合わせが楽しい!

お酒の味って、やっぱり複雑ですよね。白状すると、今回、山形の酒がうますぎて、豆とのペアリングのこと忘れかけちゃいました。すみません(笑)

お酒と合わせることで、だだちゃ豆の要素が引き立ったり、感じなくなったりするのがおもしろいですね。
枝豆に「フレッシュ」という言葉は使ったことなかったんですけど、お酒のコクとか旨味を合わせることで、「そうか、だだちゃ豆のおいしさには、フレッシュな要素があるんだな」と、あらためて気づきました。

そうですね! 地場のお酒と食べ物の組み合わせを探ると、新たな一面が発見できるのは楽しいですよね。
読者のみなさんも、ぜひ最高の組み合わせに出会ってもらいたいなと思います。
2025年豆号カタログ掲載より抜擢