だだちゃ豆の旬になると、店頭で売れ始めるのが「日本海ミネラル塩」。スタッフの間でも隠れファンの多いこの商品、「一体どうやって作っているのだろう?」と、6月11日に三川町にある釜元「塩ノ本マ」を営む本間典幸さんを訪ねました。

伝統の技を受け継ぎ、新たなスタートへ
実は昨年までの「日本海ミネラル塩」は、本間さんの義父にあたる「塩や勝じ」さんが製造していましたが、体調の変化と施設の老朽化に伴い、2025年末に惜しまれつつも閉業。しかし、それ以前から塩作りを手伝っていた本間さんがその技術を受け継ぎ、今年から「塩ノ本マ」として再開したのです。
「元々、前職も製造業をしていたので、ものづくりが好きなんです。塩は製法がシンプルな分、わずかな加減で味が変わるのが面白いですね」と本間さんは語りますが、その工程は想像以上に過酷なものでした。
湯気立ち込める夜間の過酷な作業

塩づくりは近隣に配慮して夜間に行われます。
夜8時、作業小屋に入ると、熱い湯気がもうもうと立ち込め、ただ立っているだけで汗が噴き出します。小波渡(こばと)漁港から運ばれた約1トンの海水を、薪で炊いた窯の中でじっくりと沸騰させているのです。
加熱すると灰汁(アク)のような不純物が浮き上がってくるため、絶えずすくい取らなければなりません。裸電球の明かりの下、本間さんは一晩中一人でアクを取り、薪をくべ続けます。
「しっかりアクをとるほど、柔らかい食感の塩に仕上がるんです」
海水をつぎ足しながら薪窯で約12時間煮詰めると、塩分濃度3%だった海水は20%程度まで濃縮されます。

「以前、塩分濃度が上がりすぎてしまった時に、元の海水を入れて濃度を下げて塩を作ったことがあるんです。そうしたら、出来上がりがカチコチに固まってしまって……。しっかり火を入れることで、塩が柔らかくなるんですよね」
この「しっかり火を入れること」こそが、さらっとした塩づくりに欠かせないのだといいます。

1トンの海水から生まれる、わずか20キロの輝き

塩分濃度20%程度まで濃縮した塩水は、そこからさらに余分な雑味成分を分離させます。最後に別の平窯でじっくりと低温で水分を飛ばしていくと、純白で美しい塩の結晶が現れます。
最終的に1トンの海水は、約2日間かけてわずか20キロの塩へと姿を変えます。出来上がった塩は、結晶がキラキラと光を反射して、なんとも言えない美しさです。

尖りのない、奥深い「旨味」の秘密
一口に含むとジワリと塩気が滲み、奥深い旨味が広がります。精製塩のような尖った塩味がないので、そのまま食べても「しょっぱい!」とはなりません。
「いわゆるナトリウム塩だけじゃなくて、カリウムやカルシウムが微量に結晶をコーティングしているんです。それが先に舌に触れることで、塩気が柔らかく感じるんですよ」
「義父から教わった作り方を守りつつ、毎日『どうしたらもっと美味しくなるかな?』と試行錯誤しながら作るのが楽しいですね。目指すのは雑味のない塩。雑味が抜けると、出汁のような、いわゆる旨味だけが残るんです」
この塩は、だだちゃ豆のほかに、天ぷらやおにぎり、お刺身などにつけても美味しさが一層引き立ちます。
「枝豆に塩をかけて食べたお子さんが『この塩美味しい!』と言っていたよ、とお客様からお電話をいただいたんです。その時は、塩づくりをしていて一番嬉しかったですね」
そう語る本間さんは、はにかんだ笑顔を見せてくれました。

